公社からのお知らせ
第15回 (一社)日本バーテンダー協会 千葉県本部長 松本 克敏 氏
今回のリレーインタビューは一般社団法人日本バーテンダー協会千葉県本部長の松本克敏さんです。松本さんは、前回紹介させていただいたかしわインフォメーションセンター(事務局長宮川さん)でもチケット販売をしている「かしわウイスキーフォーラム」の企画者です。
松本さんは日本バーテンダー協会が主催するかしわウイスキーフォーラムだけでなく、柏商工会議所青年部、ユルベルトKASHIWAX、柏ウエディングスタイルフォーラムなど多様な活動をされています。柏駅周辺にBARを3店舗経営しているのですが、色々な活動をされている背景や柏への思いを伺いました。
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氏 名 |
松 本 克 敏 ( まつもと かつとし ) |
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肩 書 き |
一般財団法人日本バーテンダー協会 千葉県本部長 |
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プロフィール |
柏商工会議所青年部 平成26年度地域活性委員会 委員長 |
――柏でBarやエスプレッソカフェを展開している松本さんですが、そもそも柏でお店を出したきっかけは?
もともと、西口にあったBAR&DINING TOMOで働いていました。当時、柏のBARは3~4件しかなくて、ダイニングバーはTOMOぐらいでした。最初は知識も少なく、お客様からギムレットを注文されて、「わかりました」といいながら本を読んで作っているような(そのお客様は今でも通ってくださっているそう)。TOMOで働きながら銀座のオーセンティックバーのオーパ(http://bar-opa.jp/)でも週一回働いていました。休みが全くなかったですが、銀座で覚えた技術を柏で披露して、というのを繰り返していました。
柏の街は、人口が多くて若者の街のイメージはあるけど、銀座のような大人が遊ぶ雰囲気はないなぁと寂しく思っていました。柏で自分が銀座みたいなお店を開きたいとBar Platを開いたら、お客様達が「これだったら都内に行かなくても柏でいいな」と喜んでくれたのがうれしかった。その当時、柏でフレッシュジュースを絞って提供しているお店なんてなかったし、氷も製氷機で作っていて、ウイスキーに使う丸氷なんて言うまでもなくなかったんです。
二店舗目のタイミングは、クレストホテルが出来る時期だった。ホテルにBarが入ると思っていたら、入らないということを聞いて、そういったものを自分で作ろうかなと思って作ったのが2004年に西口にできたトリアスです。ホテルのBarというのはその街のBarの基準になると言われています。ホテルBarのサービスを受けて、お客さんが街のBarを比べて、街のBarが切磋琢磨して育っていくんです。
三店舗目のSOLITOは、これまであえて目立たない場所に作ってきたので、目立つところを考えていました。借りた場所が昼からオープンさせることが条件だったので、柏にないものと考えてエスプレッソバーに決めました。もともとカフェは好きでしたが、オープン前は都内のいろんなカフェを泊まり込みで渡り歩いて研究しました。ラテアートでおいしいエスプレッソが飲める、これまでの柏にないお店が出来たと思っています。お客様にはここで柏の街や他の店舗の情報を持って帰ってほしいと思っています。
| SOLITO店内 |
――店舗経営だけでなく、商工会議所青年部やかしわウイスキーフォーラムなど積極的にまち中のイベント関わるようになったきっかけは?
オーナーの僕の役割は3店舗を連携させることだなと思ってやっています。そういう勉強がしたくて青年部に入ったのもあります。2店舗目をオープンさせたあたりにケーキ屋の樹杏のオーナーが青年部を薦めてくれました。Barで夜の仕事だし、難しいと考えていましたが、あれやこれやで断れなくなって、色々相談しているうちに溶け込んでいきました。そのうちに委員長になった友人が、色々悩んだり苦労したり、終わった後に大きな達成感を感じたりしていて、自分も委員長というのを1回やってみたいと思うようになりました。地域研究委員会(現・地域活性委員会)の委員長になって、初めにやったのがリップダブのプロジェクトでした。震災からの影響で人口が減っていたのが、少し上向きになった時、「柏は元気だよ」と他の街にアピールできたらいいよね、と思い企画しました。
柏市PR大作戦!Lip Dub 『柏市は』 2012年柏商工会議所 青年部制作(地域研究委員会担当)
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「柏市は」の様子 |
委員長になったときはすでにウイスキーフォーラムもユルベルトも経験していたので、イベントのやり方が自分の中で描けるようになっていました。歴代の会長が、青年部は行政の提言もしていこうという流れを作り、さらに提言の中で何か形にしていこうとした流れにあって模索してできたものだと思っています。青年部という肩書は、いろんな人が話を聞いてくれるありがたい立場だと思っています。それを青年部の仲間にも伝えたかった。まちで活動する人、子供たち、学生さん、様々な人の協力を得て、1本のリップダブ映像が出来ました。青年部に入ってたくさんのことを学べています。1バーテンダーとしてやっていたら3店舗はできなかったかもしれない。
――柏市内の飲食店400軒のうち、Barが30~40店ほどあるそうで、全体の一割になるのは非常に高い割合だそうですね。
Barと名前の付く店はそれくらいあると思います。柏駅の周りだけでこれだけBarがあって、色々な雑誌にも取り上げられていて。これだけ浸透してきたので、今度はBarの棲み分けができればと思っています。それをしていかないと、お客さんがごっちゃになって街の成熟度があがりません。仲間内で目指しているのはオーセンティックバーといわれるもので、それは「バーテンダーのいるBar」だという結論になった。バーテンダーというのはお酒の知識がもちろんあって、なによりお客さんに優しいというのが大事かなと思っています。楽しい気分で来る人もいれば悲しい気分で来る人もいる。そういうものを察知して、色々とお世話してくれる人だなと思っています。
――バーテンダーって特別な存在ですよね。柏は「ジャズとバーの街」を謳っている宇都宮のように、大きくPRできる素地があるのでしょうか?
Barの数としては変わらなくなってきましたね。ただ、一つ大きな違いは宇都宮には日本バーテンダー協会の全国大会で優勝した人が7人もいる。そこはまだかなと思います。宇都宮のBar事情を知れば知るほど対抗できないなぁと思ってしまいますが、一方で柏にはウイスキーフォーラムができた。ウイスキーフォーラムは全国ただ一つのもので非常に注目されています。
――今年で4回目となるウイスキーフォーラムですが、そもそもウイスキーフォーラムが開催されたきっかけというのは何だったのでしょうか?
※ウイスキーフォーラム
柏は世界最高賞を取ったウイスキー「竹鶴」の出荷工場があると2012年に始まったイベント。多種のウイスキーテイスティング以外にもプロ部門・一般部門などを設けたカクテルコンペティション、ブレンダ―セミナー、ウイスキーを使った料理などがある。今年は9月28日開催。
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ウィスキーフォーラムの様子 |
秋山市長が提案してくれたのがきっかけです。ウイスキーフォーラムが立ち上がった2012年は『竹鶴17』が国際的コンテストのワールド・ウイスキー・アワード(WWA)で世界最高賞を取った時で、盛り上がっていました。竹鶴が柏工場から出荷されていると知った市長が、街でイベントを行っている人達に相談しているうちに、僕に繋がりました。市長がニッカの工場長を紹介する機会を作ってくれて、僕が柏の飲食店に声をかけてみんなで工場見学にいき、その後、何かできないかと僕が企画したのが「かしわウイスキーフォーラム」だったのです。
――かしわウイスキーフォーラムの主催は日本バーテンダー協会の千葉県本部東葛地区ですね。
第三回目まではそうです。かしわウイスキーフォーラムは色々な偶然と協力が重なってできたと思っています。一回目はバーテンダー協会の千葉支部のみなさんが裏方まで手伝ってくれましたが、今後も継続できる仕組みを作りたいと思い、今年からは実行委員会にしています。日本バーテンダー協会は実行委員会に入って、カクテルコンペティションを担います。
この仕組みは岡山の事例を参考にしました。岡山県が主催している大きなイベントの中の1企画にカクテルコンペティションがあり、そこをバーテンダー協会岡山支部が担っています。一カ月間の会期の中でアートイベントや色々な企画をしているそうです。こういったまちぐるみのイベントって素敵だなぁと思いました。例えば柏市が何か大きなイベントをするときにバーテンダー協会が1週目カクテルコンペティションを担当し、2週目はユルベルト、3週目はアートや音楽…ということをできたらなと考えています。
今年の開催は9月28日に決まりました。今年の目玉は余市町がある小樽支部のバーテンダーや宮城峡のある仙台支部のバーテンダーと共同で、余市、仙台と柏のカクテルを作って披露する予定です。秋から始まる、NHKの連続テレビ小説『マッサン』の舞台となった余市町。マッサンが選んだ街のカクテルを飲んでいただきたいと企画しています。
――ますます期待が高まりますね。そして、こちらも柏独自のイベントですが、ユルベルトKASHIWAXも副実行委員長でいらっしゃいますよね。ユルベルトも企画段階から関わっていたのでしょうか?
※ユルベルトKASHIWAX
2009年から始まった柏駅周辺の飲食店を回数券で食べ歩くイベント。ベルトをゆるめながら大いに食べ歩くという意味のネーミング。年1~2回、数日間開催。毎回100店舗前後の飲食店が参加しています。今年は9月7日8日に開催。今年の様子は市役所の公式ブログでも発信中!→「柏人への道 街なかグルメ・イベント」
Barのお客様の中に函館出身の方がいて、函館のバルがすごいから一緒に行こうと毎年誘ってくれていました。日曜日開催だった3年目に柏の人たちを誘って行ってみたら、とても楽しかったんです。お店とお店が離れているんですが、その間でバンドの演奏をしていたり、コーヒーのケータリングカーがあったり、チャリティーイベントが開催されていたり、アイスクリーム屋さんがあったり。次々とハシゴし、非常に盛り上がっているのを体感しました。こういうものを柏でできたらいいなぁと思いましたが、自分はバーテンダーだし無理だよなぁ、と思って。そのとき一緒に行ったのが、ユルベルト実行委員長の寺嶋浩人さんやアートラインかしわのメンバー。最後に若手男3人でスナックバーみたいなところに行って、歌いながら「やるか!」と意思を固めました。そのときに函館バルを仕切っているスペイン料理のオーナーさんにも話を聞いて、柏を自分達で盛り上げることが大事だとも思いました。柏のユルベルトも飲食店の人だけで運営しているので、ルールがなくお客さんが自由に楽しめるし、飲食店も各店の責任でやれるのがいいですね。お客様に来てほしいなら自分の腕を挙げたり工夫したりしなければいけないんです。
――2つのイベントの違いに関して伺いたいのですが、ウイスキーフォーラムは柏の街のイメージづくりに大きく影響を与えていると思っています。一方ユルベルトは、誰でも気軽に参加できて、みんなが街に繰り出して参加して楽しむというちょっと違った側面を持っていますよね。
違いはとても意識しています。ウイスキーフォーラムは、一回目二回目は市民に認知してもらおうとしていましたが、三回目からはなるべく市外の人に来てもらいたいと工夫しました。ウイスキーフォーラムはお酒を使っていることもあり、対象が大人に限定されます。当時柏は若者の街のイメージが強かったのですが、実際はこれだけBarがあり、それは通っている人がそれだけいるということの表れ。柏でもそういった「大人の街」を打ち出してもいいかなと思い、Barのお客様が集まるパーティーをイメージして始まりました。みんながジャケットを着て、男性が女性をエスコートするようなおしゃれなパーティーです。最初はドレスコードをどこまで規定するか、ハードルが高すぎるとチケットが売れないのではと悩みました。
――松本さんにとってこういった街になりたいという思いはありますか?
自分の目指すところは、柏は横浜のようなイメージに向かっていくと思っています。柏は立川と比較されることもあるけど、立川ほどビジネス街ではない。どこまでいけるかわからないけど、横浜のようなデートスポット、休みの日に出かけに行く場所という素地があると思います。休日にいつも何かいろんなイベントが行われているようになるといいなと思っています。僕もそういう街に住んでいたいし、自分の子供が二十歳まで成長したときに子供が喜んでいれば、僕がやったことも意味があったのかなと思えるかなと思っています。小さな幸せですけどね。
そういった流れの中で柏ウェディングスタイルフォーラムにも関わっています。きっかけは柏も式場がたくさんあるからやってみたら、青山ウェディングタウン構想の関係者からと持ちかけられたそうです。そのうち僕に相談が来て、色々な人のつなぎ役をしています。
皆さんなぜ僕を頼ってくれるのかなと思うんですけど、でもこういった傾向はとてもいいことだと思っています。まちに関わりたい人を受け入れられるようになれば、その人の人生の幸せになっていくんじゃないかなと思います。作られたイベントに行って楽しむのではなく、自分たちでイベントを作りあげていくようになったら素敵ですね。
※柏ウェディングスタイルフォーラム
”柏で出会い、柏で遊び、柏で結婚式を挙げ、柏で暮らす。”を提唱する「柏ウェディングフォーラム実行委員会」主催のイベント。今年は10月13日開催。
| イベント(ウエディングファッションショー)の様子 |
柏は成長期に入っていると感じています。世代交代の時期に入っているともいえるかもしれない。先輩方がまちの礎を作ってくれて、今は若者がやりたいことができる風潮になっている。「町おこし」から始めないといけない街が多い中で、柏はとても恵まれた環境だと思います。ですので、やりたいと言ってきた思いをうまく形にしてあげたいなと思う。最近は、自分だけでは全部引き受けきれないので、「この人に話してみたら?」と紹介するようにしています。
~担当者より追記~
今回は少し長くなってしまいましたが、これでもまだ記事に載せきれないほどのお話しをいただきました。松本さんは非常にアイデアにあふれた方だなと思いました。柏とウイスキーへの愛から「柏ラベルのウイスキーを作りたい」「せめてラベルの下に”ボトルドイン柏”って書いてくれるだけでも」という話やウイスキー検定に柏市を巻き込んで、「ウイスキーのまち」のアピールをしたいという話もでたりとアイデアが尽きないご様子でした。かしわウイスキーフォーラムが始まってから、柏で「竹鶴」の売り上げが2~3倍に増えたそうですよ。
●今回の撮影場所:柏の路地裏(Plat前)
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今回の撮影場所を相談したところ、「僕には裏道くらいの方が似合うから・・・」と謙虚なご返答でPlatの前の道を指定していただきました。松本さんにとって1号店であるPlatは、駅から徒歩圏であるにも関わらず、「こんなところにあったんだ!?」と言われるようなちょっと見つけにくい場所にあります。「BARはひっそりとした場所にあるのがいいんです」とのこと。柏の裏道は探索するとたくさん発見がありますね。 |
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