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第14回 かしわインフォメーションセンター事務局長 宮川 秀勝 氏

 今回のリレーインタビューはかしわインフォメーションセンター事務局長の宮川秀勝さんです。前回インタビューをさせていただいたストリート・ブレイカーズの市村さんはこちらのセンターを管理・運営している非営利活動法人(NPO)柏市インフォメーション協会の理事長でもいらっしゃるのですが、インタビューのあと「インフォメーションセンターの話もしたかったけど、その分、次は宮川さんに託すよ」とのことでした。

 かしわインフォメーションセンター(KIC)は柏駅南口を出て左、ファミリかしわの3階にあります。隣に行政サービスセンターがあり、そのついで(!?)に立ち寄る方も多いようです。どちらかというと「観光」よりも「生活」の側面が強い柏でのインフォメーションセンターは、市民の生活に密着したちょっとした疑問にも答え、ボランティアスタッフが問合わせに応じてくれる、非常に暖かい雰囲気の場所です。実は、行政を始めとした他所のまちづくり関係者からの視察も多く、国内にこんなセンターはない、とまで言われています。(※ちなみに創設に携わった方に聞くとニューヨークタイムズスクエアのビジターセンターを参考にしたとか。)
 かしわインフォメーションセンターの良さは実際に訪れてスタッフの方とお話しするのが一番よくわかると思うのですが、このリレーインタビューでは事務局長宮川さんに少し踏み込んで心の内も聞いてみました。

 

 

氏   名

宮 川  秀 勝  ( みやかわ ひでかつ 

肩 書 き

非営利活動法人 柏市インフォメーション協会 事務局長

プロフィール

1983年2月生まれ。満31歳。
既婚。子どもは第一子6歳(男)、第二子4歳(男)
現在、柏市豊上町に在住。 幼少期より柏市で育つ根っからの柏っ子。
大学生時代に、ストリートブレイカーズ主催のストリートコレクションに出場し、準グランプリの受賞経験有。
一般企業就職後に、NPO法人の業界へ転身。その関連で一時静岡にて暮らしていたが、第二子の妊娠をきっかけに、生活の基盤を千葉県に移すことを決意。年齢や経験が未熟とは知りつつも、KICの事務局長の選考に応募し、
40倍以上の選考を通過し、現在に至る。

 

――宮川さんがいらっしゃる、「かしわインフォメーションセンター(以下、KIC)」はどんなところですか。

KICは、一言で言うと「まちの案内所」ですね。みなさんに柏という街を楽しんで頂くための入り口だと思っています。観光案内所でもなく、行政の施設でもない中間的な施設ですね。行政色が強いと思われがちなんですけど、実際には、幅広い年齢層がふらっと立ち寄って下さる、どなたでも気軽に立ち寄れる場所です。我々としては、ボランティアスタッフさんと一緒に柏のまちで過ごされる人をお迎えして、少しでもいい気持ちになって帰って頂けたらなと、毎日思いながら活動しています。

――KICには一日どのくらいの方がお越しですか。

平均すると、来館者は1日160名ほどですね。200名、300名多い日では1000名以上お越しの日もありますよ。来館でのお問い合わせが殆どですが、週末は電話やメールなどのお問い合わせもやや増加します。来館者もお問い合わせも増加傾向ですね。

――KICは「ボランティアスタッフが窓口に立ち、どんな質問にでも答える」という、非常にめずらしい(国内ではおそらく唯一)場所なんだそうですね。全国からの視察もたくさんいらっしゃっていますが、たくさんある特徴の中でKICの1番の強みは何でしょうか。

強みは、やはりボランティアスタッフさん達ですね。我々スタッフとボランティアスタッフが「思いやりを持って来館者の方をお迎えする」という共通の思いを持って活動できている事は、とても幸せな事だと思います。手前味噌かもしれませんが、「来館される方のどんな質問にもお答えする」という姿勢は、KICが日本一。他のどのセンターにも負けていないと自負しています。観光情報だけでなく、道案内、私生活までしっかりと対応する場所は全国探してもそうないのではないでしょうか。

――確かに、受付をしてくれている皆さんが醸し出す雰囲気が素晴らしいですよね。いつ伺っても暖かい笑顔で迎えてくださるので、いつもついつい長居してしまいます。

ありがとうございます。様々な問合わせや目的を持つ方がお越しになるのですが、ボランティアスタッフさんはどんな方にも本当によく対応してくれていると思います。初めて柏を訪れて右も左もわからない方や、外国人の方には、実際に引率をしてご案内をしたり、ランチのお店をお探しの方には、自身の経験からの口コミで様々な選択肢を提示したり。時には、お問い合わせというよりも、ただお話をされたいだけというような方でも、お気持ちを汲んでお話を聞いてあげたり。ふとしたお問い合わせから、思わぬ人生相談に発展するなんて事もあります。一人一人の来館者が何を求めてお越しなのか、それを感じ取って対応してくれるボランティアスタッフさん達には本当に感謝しています。

――今、どのくらいの方がボランティアスタッフでいらっしゃるんですか。

現在ボランティアスタッフの登録者数は280人で、ひと月で45~50人の方が活躍してくれています。しかも、そのほとんどが5年以上のキャリアの方々なんですよ。10年以上の方も沢山いらっしゃいます。もちろん歴が長い短いは関係なく、皆さんの案内されている姿勢は、我々スタッフにとってもすごく刺激になっています。

市民スタッフさんとの「街歩き取材」への出発前の様子。今回のテーマは、イタリアンのお店。
3グループにわかれて調査し、館内の大型マップに、店舗画像を貼り付け、案内に活用。
3グループに分かれて取材し、もちろんグループごとにランチ。

 

――ボランティアスタッフさんは新しい方も随時入って来られているそうですね。

実はボランティアスタッフさん自身が、来館された方をスカウトしていることもあるんですよ。来館者と話していて「この人いいな」と思うと、ボランティアスタッフさんが声をかけて勧誘しています(笑)

――もしかしたらそれがインフォメーションセンターの雰囲気を良いものであり続ける秘訣なのかもしれませんね。
かしわインフォメーションセンターの前は静岡にいらっしゃったと伺いましたが、柏に戻って来られたきっかけはなんですか。

きっかけは、柏にそろそろ戻りたいなと思ったことですね。私は柏出身で、静岡で働くまでずっと柏に住んでいて、柏で買い物したり遊んでいたんですよ。静岡では児童健全育成事業をメインで行っているNPOにいたのですが、10年経ち1区切りとなったことも大きかったです。

――柏で育ち、柏に戻り、柏で働き、子育てをしていて、さらにお仕事は柏の案内や発信なんて、本当に柏づくしですね。

柏の血が流れていたんですかね(笑)実は10年くらい前のストリート・ブレイカーズの「ストリートコレクション」(※)に出て準優勝したこともあるんですよ。

 

ストリートコレクションの時の写真。古着屋で買った服にセレクトショップで買った
ワッペンを縫い付けて出場。ものすごい普段着のコーディネートが選ばれて驚きました。

 

 ――出場していたのは伺ってましたが準優勝だったんですね!やはり柏とご縁が深かったんですね。柏で働くことを考えたときは、まちづくりに関わりたいと考えていたのですか。

いえ、民間企業も受けていたのですが、その時はNPOに所属していましたし、民間企業以外での働き方というものに、まだ挑戦したいと内心では思っていました。せっかく踏み込んだNPOという業界をもっと勉強したかったので。その時にたまたまハローワークでKICの求人を見つけて、すごく魅力を感じ、すぐに静岡からKICを見に行きました。その後、「(自分には不釣り合いな立場だが、ダメなら落ちるだけだから)応募するのは自由だろ」と応募しました(笑)

――40倍の高倍率からの宮川事務局長誕生。候補者にはかなりの専門をお持ちの方や実績の高い方もいたと聞きました。

本当にありがたい機会を頂けたなと思います。応募の時に提出した作文が良かったなんていううわさも聞きますが。作文のテーマが「柏のまちづくりにおけるインフォメーションセンターの役割とは」でした。その時にまちづくりというものについて、恥ずかしながら初めて真剣に考えました。

そもそも、私にとって「働く」という事を考えた時に、誰かのきっかけになるような仕事がしたいなという思いがずっとありました。以前のNPOで言えば、人が成長するきっかけに関わらせて頂きたかったんです。自分が関わる事で、その子の成長に+αで“何か”良いものが見つかるきっかけになれればと。

だからKICで言うならば、KICに関わった方にとって、柏で過ごすことが楽しくなる“何か”を感じてもらえる場所であるべきだと思いました。その何かを見つけるきっかけとして、自分が関わらせて頂けたらいいなと。そんな事を作文に書きましたね。

――宮川さんの人柄とスタンスが感じられますね。前のめりなことを書くのではなく、「間に立ってきっかけになればいいな」という考えをしっかり打ち出すスタンスはとても新鮮です。ところで最近のKICでは、イベントを主催したり、グッズの販売にも力を入れていたりと、活動の幅が広がっていますね。

KICにはここを拠点としてお迎えする顔と、陰ながら柏を外に出していくような顔の2つの側面があるんです。陰ながら発信しているというのは、例えば、テレビや雑誌の方々からのご相談がインフォメーションセンターに数多く来ているので、かなりの量の情報をご紹介しています。もちろん最終的に何を取り上げていただけるかは、先方次第ですが、少しでも柏のまちを紹介する際に、幅を持たせられればと思っています。そうそう、不動産関連会社からのお問合わせも来ます。まちの情報収集にここを利用されているようです。

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平成26年3月31日に開催された「おいでよ!かぞくでカシワニ」の様子。柏市役所から委託をうけ、
駅前再開発40周年を記念して、駅前空間の新しい活用方法に挑戦。かねてから寄せられていた
「子どもをつれて遊べるところは?」というお問い合せに応えるべく、駅前大型店舗の協力を得て、
柏駅前を親子で遊べる空間へと変身させた。

――KICができて13年、宮川さんが就任して4年ですが、たくさんの市民の声を聞いていて、柏の街やKICに来る方のニーズは変化しているでしょうか。

まちへのニーズはさておき、KICへのニーズは変化してきていると思います。若い人が訪れてくれるようになったと感じる一方で、高齢者の方からのお問い合わせは増えていますね。それと、自分の居場所を探しているようなお問い合わせが増えてきた気がします。お店についても自分の好みをすごく細かく伝えられる方が来られるようになりましたね。

――KICの活動をしていて特に幸せだなと思ったときはどんな時ですか。

来館者からの「ありがとう」はやはり嬉しいです。後日わざわざお礼を言いに来てくださる方もいるんですよ。たくさんの方がKIC作成のマップを手に取ってくださったり、貸し傘(※※)を利用してくださったり、イベントに来て下さった方が楽しそうにしていると、こちらも楽しくなります。

――KICで今後計画していることはありますか。

展望というには、すごく地味な活動かもしれませんが、足場固めをしっかりしたいと思っているんですよね。
柏市内では現在、多くの方が、市民活動やまちづくり活動を行っています。その方々のKICに対する期待と我々がやりたい事・できる事とのバランス。それに対する市民の方、来街者の方のニーズ。情報の集め方や発信の仕方、KICの強みとは何か…などなど。常に考えてはいますが、それでも今後はもっと根底的なところから改めて考えたいなと思います。

情報は待っているだけでは入ってきませんし、まちの魅力をKIC自身で掘り起こしていかないといけないと感じています。情報を発信する媒体もちゃんと適切に選択していかないといけないですよね。インターネット部門も今まですごく苦手だったんですけど、KICの持つ対人の良さを大切にしながらSNSなど時代に合わせていくことも考えていかないといけないと思っています。そのあたりを見極める年にしたいですね。

――ちなみに、柏がもっとこんな街だったらいいなと期待することはありますか。

う~ん…。難しいですね。

私自身は何かと「もっとこうだったらいいのに」と、外に求めるよりも、与えられた環境の中で、自分のやるべきことをやらせてもらいたいと考えてしまいます。そのことが良いのか悪いのかわからないんですけど(笑)
だから今はKICが関われる部分で、良いまちだなと感じてもらえるような活動をしていきたいですね。

――最後に、かしわインフォメーションセンターは今後どんな場所でありたいと思っていますか。

「なんでもお問い合わせください!」と胸を張れる、まちあるきの拠点でありたいですね。来館者の方が細かく“もやもや”していること、その“もやもや感”を自分なりのソフトでうまくいかせてあげたいと思います。
かしわインフォメーションセンターも、まちと同じです。ぜひ、一度来て、体感してください!

「来館者への対応はKICが日本一」――優しい宮川さんが誇らしげにきっぱりとそう断言したのが非常に印象に残りました。ボランティアだからできること、スタッフだからできることがある中で互いに信頼しながら活動していることが伺えて、「いい場所だなぁ~」と思ってしまいました。

宮川さんは優しくて物腰柔らかな方ですが、趣味の活動はかなりアクティブだそうで、その受入れの大きい人柄でまちづくり関係者のお悩みを聞いてあげる保健室的な面もKICにはあるような気がしました。「行くとちょっと楽しくなる・ほっとする」場所がまちにあるのはいいなぁと思いました。宮川さんの幸せな時の話にもある、日々の(形にならない)小さな幸せの積み重ねがこのかしわインフォメーションセンターを創りあげているのはも、と考えさせられました。

かしわインフォメーションセンターではホームページでも様々な情報を発信しています。
施設や活動に関しても載っていますのでぜひご覧ください。http://www.86kashiwa.net/


※  ストリートコレクション
ストリートブレーカーズの行っていたプロジェクトの一つ。「1万円を使ってウラカシのファッションで全身コーディネートコンテスト」「柏発ファッションブランドのコンテスト」「柏をイメージした一般の方によるファッションショー」など、様々な企画が行われた。詳しくはこちら

※※ KICの傘
KICでは「カシワニ傘・貸すワニ☆エコプロジェクト」行っています。
KICにて無料で借りられます。突然の雨の日にとても助かります。

●今回の撮影場所:かしわインフォメーションセンター

今回の撮影場所はやはりかしわインフォメーションセンターにしました。KICには受付カウンター、グッズ販売の他にも、柏駅周辺の模型や大きな地図、行政情報やKIC会員のパンフレット・ショップカード、柏特産お土産のコーナー、モニターでの映像放映(その時によって内容が変わります)、期間限定のまちやイベントに関する展示などたくさんの情報にあふれています。模型は随時更新されていて、新しく建設中のマンションがどのくらいの大きさなのかもわかります。なお、宮川さんがさりげなく持っているのは、市民スタッフが作ってくれたカシワニのぬいぐるみ。来訪した小さな子が触って喜んでいるのをよく見かけます。

 

 

 

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次回のリレーインタビューは
一般社団法人日本バーテンダー協会 千葉県本部長 松本 克敏 氏 です。

 

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